10月下旬、とある地方都市の保健所主催講演会に招かれて、食品の栄養成分表示に関するお話をする機会がありました。
地域の保健所主催ということもあって、一般消費者と食品関連事業者が混在したセミナーとなり、多くの中小の事業者の方も参加されていました。

1時間の講演終了後、主催者が準備してくれたミーティングルームで、30分くらい講演の感想をお聞きしたり、栄養成分表示に関する意見交換を行いました。

栄養成分表示は、準備の段階だけでも数カ月はかかるというのに!

その際、職員の皆さんが口をそろえて言っていたのは、「中小スーパーの方の意識が低くて困ります。
栄養成分表示は簡単にできないのに、本当に間に合うのか心配でなりません」ということ。
それに対して、私も「消費税と違って、3月31日の夜にやればできるというわけではないのですが、日本人はギリギリにならないとやろうとしないんです。

栄養成分表示の大変さを理解されていない方が多いようですね」と言うと、職員のお一人が「自分の会社で作っているからといって、店と離れた場所で作った惣菜類を店で容器包装して販売する場合は、全て表示対象になることを分かっていない経営者もいます。
もちろん、栄養成分表示のことも分かっていないので……」と心配をされていました。
私が「栄養成分表示は、まず対象となる商品がどのくらいあるのかを調べ、それを社内でやるのか、アウトソーシングでやるのかを決めなければいけません。
内部の場合、栄養成分表示を理解している栄養士のような専門家を置かなければなりません。
外部の場合、データの送受信の方法、期間、費用等を調査しなければなりません。
その上で『どちらの方法が手間と費用等を考えて得なのか』を検討することになります。
それだけでも数カ月かかります」と言うと、「そうですよね。表示していなければ販売できないですから」と職員の方もおっしゃっていました。

栄養成分表示は、簡単にはできません

食品表示には、生鮮品の原産地のように表示を忘れていてもバックヤードに戻って調べればすぐに分かるものも多いのですが、栄養成分表示は忘れていたから確認しようと思っても、誰に何を確認するのか、どうやって商品に表示するのか簡単できるものではありません。
「どうせ商品が変わるのだから、2020年の年明けから考えればいいんじゃないか」と思っていても、経験のない人にそんな短期間にマスターできるものではありません。
そこで、お薦めしたのが、まず手始めに、自社で表示しなければならない商品の一つでいいので、栄養成分表示をしてみることです。

実際に商品に表示しなくても、誰がどこで成分量を計算するのか、誰がどこで、何で(どんな機械あるいは印刷)表示するのか、その時間と費用(人件費、ラベル代等)はどのくらいかかるのかを確かめてみるのです。
仮に、惣菜1品に栄養成分表示をするのに1万円の費用が発生すると、1000パック作って1品当たり10円。大量に発注することでコストを下げ、惣菜100品1万パックを1万円でできたとしても、1品当たり1円のコストになります。
今の時代、栄養成分表示をしたからといって、販売価格を上げるわけにはいかないでしょう。
そうなると、社内でやるか、アウトソーシングするかも含め、早く確認しておかないと、大変なことになると分かるでしょう。

日常業務をしながらだと、あっという間に月日は経ってしまう

繰り返します。
すぐにでも栄養成分表示をするためのシミュレーションをしてみることです。
そうしなければ、問題点が浮き彫りになりません。
そして、その問題点を解決するためにはどうすべきなのかを決めなければなりません。

それを日常の仕事をしながら行うのです。あっという間に月日は経ってしまいます。
表示しなければ販売できず、費用もかかり、他人任せにすることもできないのが栄養成分表示なのです。