何かと気ぜわしい年末商戦の真っただ中、クリスマスや正月用品であわただしいスーパーや食品メーカー様は対応のご準備を!
今年は、あなたの会社に突然苦手な訪問者がやって来るかもしれません。

食品業界には事前通達でご存じだと思われますが、消費者庁は、12月1日から31日までの1か月間を、「食品表示の全国一斉取り締まり活動」と銘打って、着実に粛々と活動を行っております。
具体的に、全国の自治体部署と連携、地域保健所を実働部隊として、全国30万以上の施設への立ち入りを実行、食品表示が適正になされているかの、実情チェックに動いています。

例年の消費者庁は、食中毒が起こりやすい夏休みや、実家への帰省などで人の移動が多い年末年始に、主に安全性に関わる項目について、小売店や製造メーカーに立ち入り調査と食品表示違反の取り締まり活動を行っています。
今までと今年が異なるのは、例年の生肉などの食材を十分に加熱しているかなど、食中毒防止の観点で行っているこの年末取り締まり活動に加え、今回は、離乳食への蜂蜜使用で起きた死亡事故の再発防止策として、蜂蜜製品に対する表示チェックが加わりました。
さらに、今回の立ち入り検査の重点施策に、「栄養成分の表示義務」のチェックが検査項目に加わったことで、様子見だった食品会社にも、いよいよ猶予なく差し迫ってまいりました。

●小規模メーカーも、条件によっては義務化の対象

ご存じのように食品表示法の改正により、2015年4月1日からほぼ全ての加工食品に対して、①カロリー、②たんぱく質、③脂質、④炭水化物、⑤食塩相当量、5項目の栄養成分表示を行うことが義務化されています。
ただし改正法施行後の移行猶予期間として、2020年3月までは表示義務が免除されていますが、それは企業ごとの事情を考慮した温情で、迫る期限に普及が進まない実情に、いよいよ直接指導が必要と判断したようです。
このような事情も相まって、今回は「従来よりも強い姿勢で取り組みを強く要請する」(消費者庁)形で、取り締まりを強化する方向に明確に舵を切ったようです。

ちなみに、個人経営でこの表示義務から免除される小規模事業者でも、その商品を大手小売店で販売する際には、栄養成分表示義務は課せられます。
つまり地方の直売所で販売される漬物のようなものでも、それがイオンや道の駅などの大手小売店で販売され、一般消費者に広く流通するような形であれば、栄養表示は免れないのです。

●先進国の潮流に遅れている日本の食品表示

2020年3月31日以降の表示義務違反者は、事業者名を公表して直接指導が入ります。
なおこれに従わない場合は、法人に対しては1億円以下の罰金、個人に対しては1年以下の懲役刑等もあり得るというのです。

現在は移行期間中のため、この取り締まりで違反が指摘されても、業者名の公表や罰則などは適用されませんが、現実は消費者庁による初めての実態調査であり、表示できていない事業者の情報は消費者庁に把握されることになります。
このページをご覧の食品メーカー対象事業者の皆様は、「ブラックリスト」に載ることは、何としても避けていただきたいと思います。

しかし、「分析を行うためのコストは事業者持ちとなるし、表示をしたからといって直接売り上げが伸びるわけでもないといったジレンマに苛まされるのではないでしょうか。
現状では、「小規模メーカーでは対応できないところも多いのではないか」(食品業界関係者)という恨み節も聞こえてきますが、かといって逃れることも放置することも許されないのです。

実は、食品表示に対する規制強化はこれだけではありません。
栄養成分表示に続き、2022年3月には原料原産地表示の移行猶予期間も切れて、完全施行が待ったなしに来るのです。
さまざまな産地から調達した肉や果汁などの原料を、使用量に応じて商品に表記することを義務付けるもので、複数の国から原材料を調達することの多い大手メーカーにとって影響は大です。

遅ればせながら食品表示の規制強化に動いている日本ですが、諸外国と比べるとまだ緩い方なんですよ。
例えば米国では、日本では義務化されていないトランス脂肪酸やコレステロールについても表示義務があります。

世界中で、食品の安全・安心に対する消費者の関心がますます高まり、もう日本だけの足踏みは許されないのです。
コンブライアンス、食品表示をしっかり守れないメーカーは淘汰せざるを得ない、厳しい時代が見えてくるのです。